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4.再生土壌の可能性

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1.イントロダクション

5.編集後記

インタビュー後の集合写真(左から信濃先生、著者、藏田先生/2020年)

 信濃先生のインタビューでは、かつてのファイトレメディエーションの研究、そして今のカリウム肥料投入の推進について伺いました。そのなかで、研究を通してのご自身の学びや関連する研究についての見解もお聞きすることができました。編集の都合上、これまでの記事に書ききれなかったお話も沢山あります。例えば、野菜は茹でて調理することで放射性セシウムの一部を水中に移動させられることや、高濃度の汚染土壌を扱う際は塵を避けるためのマスクやキャップをつけたりすることなども教えて頂きました。


 

このインタビューと記事作成は、2020年度後期の北海道大学の教養深化プログラムの授業「サイエンスリテラシー特別演習Ⅰ」の一環で行われました。文系の学生が専門外の事柄について研究者にインタビューを行い、一般の方にも分かりやすく伝えようとする試みです。放射性物質は直接目にすることができず、汚染の問題についてもどこかつかみにくいように思われがちですが、信濃先生は最前線で携わってこられた立場から、とても地に足のついたお話をしてくださいました。


福島県の除去土壌は中間貯蔵開始から30年以内に県外で最終処分をする方針を国が出していますが、未だその目途が立っているとは言い難い状況です。放射性物質の中でもセシウム137などは半減期が30年と長く、特に高濃度の汚染土壌が安全といえるまでには長い目で腰を据えてとりかからなくてはなりません。今後も長く放射性物質を含む土と生きてゆくことについて、この記事が皆様に参考となるようなことがあれば幸いです。

(文学院2年 杉谷紬)