自己紹介

2022.12.28現在

こんにちは。蔵田伸雄です。

このページを見ているには色々な方がいると思います。

・たまたまこのページにたどり着いた方
・ネットなどで検索して私のことを知った方
・私の研究に関心のある方
・講演や研修(特に医療倫理関係や技術者倫理関連等)等を依頼したい方、
・高校生向け出前講義などを依頼したい方
・私に何らかの取材をしたいとか、情報提供をしてほしいと思ったマスコミの方
・大学院進学を考えている方
・大学で倫理学を学びたいと思った、あるいは倫理学に関心がある高校生
・日本で応用倫理学やメタ倫理学を学びたい、研究したいと思った海外の学生さんや若い研究者の方
・私の論文や、教科書的な文章を読んで私について知りたいと思った方
・文学部に進学して、倫理学を学びたいと思った方
・私のことをある程度知っている方
・私が教えている学生さん

・・・・このページにたどりついた経過もそれぞれの方で異なると思いますので、おおざっぱなことを書いておきます。

簡単な履歴はこちらのページに掲載してあります。

北海道大学の教員として働いています。所属は大学院文学研究院・人文学部門・哲学宗教学分野・哲学倫理学研究室です。
現在担当している科目は年度によっても異なりますが、、「倫理学概論」、その他に環境倫理、生命倫理、科学技術倫理を担当しています。さらに現在は担当していませんが、西洋哲学史や現代哲学の授業を担当することもあります。過去に北海道大学で担当した授業の一覧はこちらです。
研究の「専門」は「応用倫理学」「倫理学」「哲学」、倫理学としてはも「メタ倫理学」と「規範倫理学」、さらに「応用倫理」では「生命倫理」「環境倫理」「科学技術倫理」、そして「西洋哲学史・倫理学史」が「専門」です。

研究上の関心も推移しています。大学院生時代は主にカントの哲学・倫理学の研究をしていましたが、博士課程在学中の頃から英語圏の規範倫理学に関心が移り、応用倫理学(生命倫理学・環境倫理学・科学技術倫理)と科学技術社会論を経由してメタ倫理学に関心をもつようになりました。現在は分析実存主義、生命倫理・環境倫理、さらにカント哲学・倫理学に研究の焦点をあてています。

現在の研究テーマは以下のとおりです。
(もっとも現代の日本の多くの大学教員がそうであるように、事務的な仕事や管理運営に追われていて、「研究」はほとんどできていません。そもそも「研究」よりも「教育」の方が好きなので、どうも「研究」は後回しになってしまいます)

目下の研究テーマは大きく分けて、「人生の意味」に関する議論、メタ倫理学、環境倫理、生命倫理・医療倫理、科学技術倫理、カント倫理学、現代英語圏の規範倫理学・政治哲学です。これらのテーマの中をぐるぐる回っています

現代英語圏の倫理学の領域での目下の研究テーマは「人生の意味」に関する現代的な議論(分析実存主義))です。メタ倫理学については、「動機内在主義」の問題に取り組み、この問題との関連でカント倫理学について分析した論文を書きました。またそれに関連する他の問題にも関心をもっています(表出主義、認知主義、道徳実在論等等)が、現在はトマス・ネーゲルの『利他主義の可能性』を手がかかりに道徳的行為の動機付けの問題について考えています。

生命倫理の領域で現在研究の中心にしているのは、いわゆるPAS、つまりphysician assisted suicideについて、患者の自己決定権と「人間の尊厳」の観点から批判的に検討することです。他にコロナウイルス感染と科学的知識、遺伝情報の保護や人体サンプルの使用、ゲノム編集技術の人への使用の倫理問題についても取り組んでいます。

環境倫理の分野で特に関心があるのは、科学技術から生じる環境リスク・健康リスクの倫理学的・社会哲学的問題です。さらにここ数年は再生可能エネルギーの導入に関して生じる社会的問題にも取り組みました。他に関心があるのは、「世代間倫理」の問題です。またサステイナビリティに関するセンターに関わっていたこともあり、持続可能な社会の構築に関するローカルなガバナンス・意思決定システムの問題にも取り組んでいます。

また「医療倫理」の分野では理論的なことよりも実践的なことに関心があって、看護師の方や医師の方を対象にした「倫理研修」を北大病院や他のいくつかの病院で行ってきました。「現場」の方の倫理的意思決定をふりかえるためのワークショップ(私は「四分割法」という方法を使っています)をどのように設計するか、ということも関心の一つです。
またいくつもの「倫理委員会」に関わっているので、医療系研究機関、医療系学会、病院などの「倫理委員会」をどう運営していくのか、ということにも関心を持っています。

さらに「科学技術倫理」についても取り組んでいます。特に関心があるのはリスク分析に伴う倫理問題です。それとの関連で、原子力発電のリスクに関する倫理学的・哲学的な問題についても関心をもっています。またいろいろななりゆきで、何回か「コンセンサス会議」に関わったので、コンセンサス会議などの参加型の意思決定手法の開発にも関心をもっています。一時期研究不正の問題について色々と取材を受けたのですが、この方面の研究や調査の結果はまだ文章化していないので、いずれきちんとした論文を書きたいと考えています。

カントについては、「道徳法に対する尊敬」感情の分析と、「人間の尊厳」概念の形而上学的な位置づけ、道徳的行為の動機付けと格率概念との関連等について検討しています。色々な分野の研究に手を出してはいますが、自分の研究の中心はここにあると考えています。今後は最近のメタ倫理学的な議論(ネーゲルやパーフィット)とカントとの関連について考えたいと思っています。またカント的な「人間の尊厳」概念が生命倫理の中でどう活かされているか、ということを検討することも目下の関心のひとつです。また『純粋理性批判』は好きな哲学書の一つですが、誰も原稿や発表を頼んでくれないので、この方面ではあまり業績がありません。

今までやってきた研究の内容については「業績一覧」を見て下さい。
リンク集を見ていただければ、関心の傾向もある程度わかっていただけると思います。

本年度に「指導教員」として直接指導している学生は博士課程学生4名、修士課程学生9名、卒論指導生4名。他に3年生5名、研究生1名です
学生の研究テーマは以下のとおりです。
博士課程の学生の研究テーマは「企業倫理と推論主義」「看護倫理(四分割法/医療における道徳的感受性)」「契約主義とリスク」「進化倫理学とシンガー」、修士課程学生の研究テーマは「フェミニズムと服飾」「多様性と多文化主義」「合理的エゴイズム」「カント倫理学と徳倫理学」「治療停止の倫理問題」「フィヒテの知識学」「進化論的暴露論証とメタ倫理学」「現代平等主義」「〈知識の理論〉とカント・マクダウェル」、卒論のテーマは「初期ヘアの道徳哲学」「カント倫理学と二世界論」「カントの判断力批判における目的論」「ケイパビリティと効果的利他主義」です。3年生は「ニーチェの自然主義的解釈」などに取り組んでいます。

卒論・修論・博論指導ができる分野は研究テーマや現在の学生の研究テーマからわかると思いますが、カント倫理学/哲学、生命倫理・医療倫理、環境倫理、科学技術倫理、企業倫理などの応用倫理学、ロールズ、功利主義を始めとした現代規範倫理学、メタ倫理学全般、ドイツ観念論・イギリス道徳哲学・実存主義などの西洋哲学史、共同体主義・熟議民主主義あるいはマルクス主義などの政治哲学、ジェンダー論(ただし哲学的・倫理学的切り方に限る)などです。
詳しくは、今までに指導した博論・修論・卒論の題目のページをみて下さい。

北大の学生さんで倫理学に進学したい、蔵田に卒論指導を頼みたいとか、他大学や他学部から北大の哲学倫理学の大学院を受験したいと考えている人、海外の大学院生さんで日本で応用倫理や規範倫理学・メタ倫理学を勉強したいという人は個別にご連絡下さい。海外からの留学生については、英語でのチュートリアルも可能です(今までに中国、韓国、台湾、スペイン、ポーランドからの留学生を指導したことがありますし、現在も中国、韓国、台湾からの留学生を指導しています)。

学生さんからの進路相談や卒論に関する相談、授業内容に関する質問などは受け付けますが(できるだけオフィスアワーに来て下さい)、「倫理学概論の講義の単位とれてますか」とか「毎回の課題出してなかったんですけど救済措置はありますか」とかそういう質問は無視しますのであしからず。
また私が関わっている「応用倫理・応用哲学研究教育センター」では応用倫理関連の国際会議やセミナーを行っており、応用倫理のジャーナルも刊行しています。

病院での倫理研修や倫理委員会などの依頼があれば適宜ご連絡下さい(スケジュールの都合などでお断りすることも少なくないのですが)

※なお私の名字は、通常は「蔵田」で通していますが、公的な書類では「藏田」となっています。北大のページの中でも「藏田」となっている場合がありますのでご注意下さい。

なお、昔北大の文学部案内に高校生向けに書いた文章もあります。

上から読んでも下から読んでも「蔵田はいつもつい働く」(亡くなった同僚の某先生がネット上で見つけたそうです)なのですが・・・要するに仕事をちゃんと選ばないままここまできてしまったのではないか、と反省している今日この頃です。


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